Knowledge
知っておきたい塗装や屋根の豆知識
外壁塗装だけじゃない!付帯部塗装の重要性について
2025/02/25
外壁塗装を検討するとき、多くの人は「外壁の美観や耐久性」だけに注目しがちですが、これは建物のメンテナンスにおいて一面的な見方と言えます。建物全体の価値と機能性を長期間維持するためには、「付帯部塗装」も外壁塗装と同様に重要な役割を果たすのです。実は、建物の外観の印象は外壁だけでなく、付帯部の状態にも大きく左右されることをご存知でしょうか。
付帯部は、建物の中でも特に過酷な環境にさらされる部分が多く存在します。日々の風雨による水分の影響、夏場の強い直射日光や紫外線、寒暖の急激な温度変化など、様々な要因によって劣化が進行しやすい特徴があります。このような付帯部に対して適切な塗装処理を施さないと、見た目の劣化だけでなく、建材自体の損傷が進み、最終的には建物全体の寿命を大きく縮めてしまう結果となりかねません。本記事では、このように重要でありながら見落とされがちな付帯部塗装について、その具体的な役割やメリット、そして建物の種類や素材に応じた適切な施工方法まで、詳しく解説していきます。
付帯部とは?どの部分を指すのか
具体的にどのような部分が「付帯部」に含まれるのか、それぞれの役割とともに詳しく解説します。
軒天(のきてん)
軒天とは、屋根が外壁よりも張り出している部分の裏側(天井)のことを指します。雨や日差しを直接受けることは少ないものの、湿気がこもりやすい場所のため、カビや藻が発生しやすくなります。特に通気性が悪いと結露が発生し、木部が腐食する原因にもなります。そのため、防カビ・防藻性のある塗料や、湿気を逃がす通気性の良い塗装が求められます。
破風板(はふいた)・鼻隠し
破風板は屋根の側面に取り付けられる板で、屋根の構造を守る役割を果たします。特に台風や強風時には雨風が直接当たる部分であり、劣化が進みやすいのが特徴です。破風板が劣化すると、そこから雨水が侵入し、屋根材や外壁の劣化につながる恐れがあります。
また、破風板の下部に取り付けられる「鼻隠し」は、雨樋を支える重要な部材です。鼻隠しが劣化すると雨樋の固定力が弱まり、破損や歪みの原因となります。これらの部分には、耐久性の高いシリコン塗料やフッ素塗料を使用することで、劣化を遅らせることが可能です。
雨樋(あまどい)
雨樋は、屋根に降った雨水を適切に排水し、建物の基礎や外壁への水の影響を防ぐ役割を持っています。雨樋が詰まったり、劣化して割れたりすると、水が適切に流れず、外壁の汚れや雨漏りの原因になることがあります。
特に、雨樋は塩化ビニール製のものが多いため、紫外線の影響で劣化しやすく、ひび割れや変形が生じることがあります。これを防ぐためには、柔軟性のある塗料を使用し、紫外線対策を施すことが重要です。また、塗装前に下地処理をしっかり行い、塗料の密着性を高めることが求められます。
雨戸・シャッター
雨戸やシャッターは、台風や強風時に窓ガラスを保護する役割を持っています。また、防犯対策としても重要な部材です。しかし、これらは頻繁に開閉するため、塗膜が剥がれやすく、劣化しやすい部分でもあります。特に金属製の雨戸やシャッターは、塗装が剥がれるとサビが発生しやすく、放置すると腐食が進んでしまいます。
雨戸・シャッターの塗装では、耐摩耗性の高い塗料を使用することで、開閉時の摩擦による劣化を軽減できます。また、防錆効果のある塗料を使用することで、サビの発生を抑えることが可能です。
窓枠・戸袋
窓枠や戸袋は、窓周辺の部材として、建物のデザインに影響を与える部分です。多くの場合、金属製や樹脂製の素材が使用されており、劣化すると色あせや塗膜の剥がれが目立つようになります。
窓枠や戸袋の塗装では、素材に適した塗料を選ぶことが重要です。例えば、金属製の窓枠には防錆効果のある塗料を、樹脂製の窓枠には密着性の高い塗料を使用することで、長期間美観を維持できます。
ベランダ・バルコニーの手すり
ベランダやバルコニーの手すりは、風雨や紫外線の影響を強く受ける部分であり、特に鉄製の手すりはサビが発生しやすいです。サビが進行すると強度が低下し、安全性にも影響を及ぼすため、定期的な塗装メンテナンスが必要です。
手すりの塗装では、耐候性の高い塗料を選び、塗装前には**錆取り処理(ケレン作業)**をしっかり行うことが重要です。また、木製の手すりの場合は、防腐剤入りの塗料を使用することで、腐食を防ぐことができます。
その他(換気フード、玄関ドアなど)
換気フードや玄関ドアなども、建物の外観に影響を与える付帯部の一部です。特に玄関ドアは建物の「顔」となる部分なので、美観を維持することが重要です。金属製の玄関ドアには、防錆効果のある塗料を使用し、木製のドアには耐候性の高い塗料を選ぶことで、長期間美しさを保つことができます。
付帯部塗装の重要性
建物全体の美観向上
外壁が新しく塗装されても、付帯部が劣化したままだと見た目に統一感がなく、全体の美観を損ないます。特に、雨樋や破風板、軒天などは目につきやすく、色あせや剥がれがあると古びた印象を与えてしまいます。
建物の耐久性を維持
付帯部の劣化が進むと、雨水の侵入や腐食の原因になります。例えば、破風板が傷むと屋根材に影響を与え、雨漏りを引き起こす可能性があります。適切な塗装を施すことで、建物の耐久性を向上させることができます。
コスト削減につながる
付帯部の劣化が進むと、部分的な補修では対応できず、大掛かりな交換工事が必要になることがあります。早めに塗装メンテナンスを行うことで、修繕費用を抑えることができます。
付帯部ごとの適切な塗装方法
付帯部は、それぞれ異なる素材や環境条件の影響を受けるため、適切な塗装方法を選ぶことが重要です。以下に、各付帯部ごとの適切な塗装方法を詳しく解説します。
✅軒天(のきてん)
軒天の塗装には防カビ・防藻効果のある水性塗料を使用することが重要です。これは軒天が湿気がこもりやすい場所であるためです。また、屋根の裏側に位置する軒天は通気が悪くなりやすいため、結露を防ぐために透湿性のある塗料を選ぶ必要があります。さらに、軒天は明るい色で塗装することで圧迫感を軽減し、建物全体のデザインを美しく見せることができます。
おすすめの塗料
- 水性シリコン塗料(防カビ・防藻成分配合)
- 透湿性塗料
✅破風板・鼻隠し
破風板・鼻隠しは屋根の端部にあるため、雨風や紫外線の影響を強く受けます。そのため、耐久性の高いシリコン塗料やフッ素塗料を使用するのが望ましいです。また、破風板は木製や金属製のものがあり、木製の場合は特に劣化が進みやすいため、塗装前に劣化部分の補修(パテ埋めや下地処理)を行い、下塗り後に塗装することが大切です。さらに、破風板は雨水が直接当たる部分のため、塗膜の厚みを適切に確保することで防水性を向上させることができます。
おすすめの塗料
- シリコン塗料(耐候性・耐久性に優れる)
- フッ素塗料(長期間の保護が可能)
✅雨樋(あまどい)
雨樋は塩化ビニール製が多く使用されており、塗料が剥がれやすい特性があるため、下塗りにプライマー(専用下地処理剤)を塗布して密着性を高める必要があります。また、紫外線や気温の変化で劣化しやすく、ひび割れのリスクがあるため、適切な塗膜厚を確保することが重要です。さらに、温度変化による伸縮に対応するため、柔軟性のある塗料を使用することでひび割れを防ぐことができます。
おすすめの塗料
- 専用プライマー+ウレタン塗料(密着性を高め、柔軟性を持たせる)
- シリコン塗料(耐久性向上)
✅雨戸・シャッター
雨戸やシャッターの塗装には、頻繁な開閉による摩擦に耐えられるよう、耐摩耗性の高い塗料を使用することが重要です。特に金属製の場合は、塗装が剥がれると錆が発生しやすいため、錆止めプライマーを塗布して下地を整えてから塗装を行います。また、雨戸やシャッターは表面が広いため、均一な仕上がりを実現するためにスプレー塗装を活用することをお勧めします。
おすすめの塗料
- 錆止めプライマー+ウレタン塗料(防錆対策と耐摩耗性を両立)
- シリコン塗料(耐候性を強化)
✅窓枠・戸袋
窓枠や戸袋の塗装方法は、素材によって大きく異なります。木製の場合は防腐剤入りの塗料を使用し、金属製の場合は錆止めを塗布した後に耐候性のある塗料で仕上げます。また、樹脂製の場合は密着性を高めるためのプライマーを塗布する必要があります。
塗装の耐久性を向上させるためには、下地処理が重要です。素材によっては塗料が密着しにくいため、サンドペーパー掛けやプライマー塗布などの適切な下地処理を行うことで、塗膜を長持ちさせることができます。さらに、窓枠や戸袋は頻繁に手が触れる部分であるため、塗装後の仕上げとしてクリアコートを塗ることで、より高い耐久性を実現することができます。
おすすめの塗料
- 木部用防腐塗料(木製窓枠に適用)
- 錆止め+シリコン塗料(金属製に適用)
- 専用プライマー+ウレタン塗料(樹脂製に適用)
付帯部塗装を外壁塗装と同時に行うべき理由
外壁塗装を検討する際、付帯部の塗装を後回しにしたり、別々のタイミングで行う方もいます。しかし、外壁塗装と付帯部塗装を同時に行うことで、コスト面・仕上がり・メンテナンス効率などの面で大きなメリットがあります。ここでは、具体的な理由を詳しく解説します。
コストダウン
外壁塗装や屋根塗装を行う際には、高所作業のために足場を組む必要があります。通常、足場の設置には15~25万円程度の費用がかかりますが、外壁塗装と付帯部塗装を別々の時期に行うと、その都度足場を組むことになり、余計なコストが発生します。
しかし、外壁塗装と付帯部塗装を同時に施工すれば、足場代を1回分に抑えられるため、総合的なコストダウンにつながります。
また、塗装業者は、一度にまとめて作業を進めるほうが効率的です。付帯部と外壁を別々に塗る場合、スケジュール調整や職人の手配が増え、その分コストがかかる可能性があります。
一括施工なら、業者の手間が省けるため、工事費用が割安になることが多いのです。
統一感のある仕上がり
建物の外観は、外壁だけでなく、付帯部も含めた全体のバランスで決まります。外壁の色が新しくなったのに、付帯部が古いままだと、違和感が生じ、仕上がりの美観が損なわれてしまうことがあります。
たとえば、外壁を新しい色に塗り替えたのに、雨樋や破風板が古い色のままだと、外壁だけが浮いて見えることもあります。これを防ぐためにも、外壁と付帯部を同時に塗装し、全体の統一感を保つことが重要です。
また、塗装を行う際には、外壁の色だけでなく、付帯部の色との組み合わせを考えることが大切です。例えば、以下のような色の組み合わせが人気です。
外壁の色 | 付帯部の色(雨樋・破風板・窓枠など) |
---|---|
ベージュ | ダークブラウン・ブラック |
グレー | ホワイト・ダークグレー |
ネイビー | ホワイト・グレー |
外壁と付帯部を同時に塗装すれば、全体のカラーバランスを統一しやすくなり、美しい仕上がりを実現できます。
メンテナンスの効率化
建物の塗装は、外壁・屋根・付帯部それぞれに劣化のスピードが異なります。しかし、一度にまとめて塗装しておけば、次回の塗り替え時期を揃えやすくなるため、メンテナンス計画を立てやすくなります。
例えば、外壁を先に塗装し、数年後に付帯部を塗装すると、次のメンテナンス時期がずれてしまい、また足場を組む必要が出てきます。しかし、外壁と付帯部を同時に塗装しておけば、次回の塗り替え時期も同じになるため、再び一括で施工できるのです。
また、外壁と付帯部を同時に塗装することで、建物全体の耐久性を高めることができます。例えば、破風板や軒天が劣化していると、そこから雨水が侵入し、外壁や屋根の劣化を早めてしまうことがあります。
つまり、付帯部を適切に塗装することで、外壁や屋根を守る効果が期待でき、結果的に建物全体を長持ちさせることにつながるのです。
付帯部塗装の塗料選びのポイント
耐久性・防水性・防汚性を考慮した塗料を選ぶことが大切です。
塗料の種類 | 特徴 |
---|---|
ウレタン塗料 | 安価だが耐久性はやや低い |
シリコン塗料 | コストと耐久性のバランスが良い |
フッ素塗料 | 高耐久でメンテナンス回数を減らせるが高価 |
ラジカル制御型塗料 | 紫外線による劣化を抑える効果がある |
まとめ
付帯部塗装は、建物全体の美観と耐久性を長期的に維持するために不可欠なメンテナンス作業です。適切な時期に実施することで、建物の価値を保ち、将来的な補修費用も抑えることができます。特に外壁塗装と同時に施工することにより、足場代などの経費削減が可能となり、さらには外観の統一感も実現できるため、効率的なリノベーション方法として注目されています。
「良彩建装」では、長年の経験と専門知識を活かし、外壁塗装と付帯部塗装を一体的に施工しております。建物の素材や環境条件に応じた最適な塗料選びから、丁寧な下地処理、そして美しい仕上げまで、確かな技術でご対応いたします。お客様の大切な建物の長寿命化と資産価値の維持のため、まずはお気軽にご相談ください!
- 前の記事
塗装工事における「下塗り」「中塗り」「上塗り」の役割について 2025.01.17
- 次の記事
記事がありません
Works
施工実績
良彩建装は、大阪府富田林市・河内長野市を中心に各種塗装工事をご提供しています。このたびはご依頼いただきありがとうございました。
- 2022/5/12
奈良県生駒市にて屋根の葺き替え工事
奈良県生駒市にて屋根の葺き替え工事を行いました。 こちらのお宅は増改築を繰り返したためあちこちから雨漏りが発生していまし...
READ MORE
- 2022/3/20
大阪狭山市にて屋根カバー工事および外壁塗装
大阪狭山市にて外壁塗装・屋根カバー工法・下地補修・付帯部塗装を行いました。 外壁は白いこともあり汚れや傷みが目立っていま...
READ MORE
- 2022/3/12
富田林市にて外壁塗装・屋根塗装
この度富田林市にて外壁塗装、屋根塗装のご依頼をいただきました。 一見外壁はきれいにみえますが、よく見ると雨シミやコケが発...
READ MORE
- 2022/2/15
松原市にて外壁塗装・屋根葺き替え
松原市にて外壁塗装と屋根の葺き替え工事のご依頼をいただきました。 屋根は瓦屋根からアイジー工業のスーパーガルテクトへ。 ...
READ MORE
Voices