台風や大雨の時にだけ雨漏りするのはなぜ？

2022/10/02

ふだんは雨が降っても雨漏りしないのに、台風や大雨になると雨漏りがする。

よく聞く話です。なぜ台風や大雨の時にだけ雨漏りするのでしょうか。

台風や大雨の時だけの雨漏りであれば、建物への影響はさほど心配しなくてもいいのでしょうか。

台風・大雨で雨漏りする原因

原因は、大きくわけて3つあります。

1. 雨水の吹上げ
2. 屋根の不具合
3. 外壁の不具合・コーキングの劣化

雨水の吹上げ

雨水の吹上げは、強風で雨水が水平以上の角度に降ることで、主に台風の時がこれに該当します。

台風のような暴風雨になると、雨水が風に乗って水平に打ち付けたり、下から上へ登ったりすることもあります。ふだんは雨が当たらないはずの軒裏から浸水したり、妻部の換気口などのちょっとした開口からも浸水します。

屋根面でも、雨水が強風で逆流を起こすことがあり、屋根材同士の隙間に入り込んだりします。屋根は原則として上から下へ流れる雨水を想定して設計され施工されています。これは欠陥や施工不良ではなく、通常の雨仕舞の想定を逸脱していることによります。

屋根の不具合

屋根になんらかの不具合があり、大雨の時になると雨漏りするというケースでは、実はふだんの雨でも少量の雨漏りが発生していることが多いです。

さほど重大な不具合ではないと、浸水量も少なく、屋根裏では雨漏りはしているが屋内にいて気付かない程度ということが多いのです。それが大雨になると浸水量も増え、目立った雨漏りになります。

屋根の不具合の原因はいろいろなケースがあります。目視ではわからないがわずかに屋根材がずれているとか、ハゼなどの勘合部分が潰れていて毛細管現象を起こしているとか、棟などの漆喰が劣化しているなど。

ケースとして多いのは、谷部分からの雨漏りです。両側の屋根から雨水が集合してくる谷部分は劣化も早く、雨漏りのいちばんの原因です。大雨の際では、水を流す谷部分がオーバーフローになることがあります。谷がある屋根であれば真っ先に疑われるところです。

外壁の不具合・コーキングの劣化

外壁はふだんは上から下への雨水が流れますが、台風のように水平に雨が当たったり、大雨のように量が多いと内部に浸水する量が多くなります。

モルタル壁にひびが入っていたり、サイディング壁のジョイントのコーキングが劣化していたりすると、そこから雨漏りします。浸水した雨水がそのまま木材や壁内部の資材をつたって、すき間やひび割れのある部分から染み出したりします。

少量でも壁の内部は場所によっては配線があったりしますので油断はできませんし、カビが発生したり木材の腐食が進みます。コーキングは数年で劣化しますので、浸水量は少なくても年数が重なると深刻な被害が出る原因になります。

台風や大雨のときの雨漏りをできるだけ防ぐには

台風や大雨のときの雨漏りの原因をみてきました。台風の吹上げに対しては、原因が不具合でなければ、かえって触らないほうがいいこともあります。軒裏や開口部などで、対応できるところであれば台風前に防水テープを貼るなどしてもいいでしょう。

通常なら問題ない例としては雨樋のオーバーフローによって軒樋や集水器から溢れた雨水が軒先から建物へ浸水することもありますが、かといって極端な雨量に合わせて雨樋サイズを交換する必要はないでしょう。

屋根の不具合や外壁の不具合・コーキングの劣化に対しては、定期点検をするなどふだんからの目配りが欠かせません。年数的に耐用時期を迎えていて、もし必要ならメンテナンス工事を行いましょう。

壁のひび割れやコーキングなら、場所や量によっては自分で塞ぐこともできます。

台風や大雨など、年に１、2回のことであればやり過ごしてしまいがちですが、建物への影響はさほど心配しなくてもいいというわけではありません。

台風や大雨の時にだけ雨漏りが発生するとしても、見えない箇所での雨漏りは進行しており、今後悪化していくと考えることができます。普段は雨漏りしないからといってそのまま放置しておけば、そのうち普通の雨でも雨漏り発生の可能性があります。